鹿島出版会「クーデンホーフ光子伝」木村毅著(1976−96−8刷)を読む。

今日は偶然 「リヒャルト・ニコラウス・栄次郎・クーデンホーフ・カレルギー」の命日(1972・7・29没)。 この本は何回か取り上げた「栄次郎・クーデンホーフ・カレルギー」の母親の伝記である。明治7年(1874)7月16日東京生まれ、昭和16年(1941)8月28日スイス没。墓碑銘・「マリア・テクラ・ミツ・クーデンホーフ・カレルギ…

「ミネルヴァ書房」の「シリーズ自伝」出版に思う。

民主党鳩山「孫」の政権が終了した。素人の筆者から見ても昨年12月末に歴代の自民党前政権で漸(ようや)く纏まった沖縄辺野古の問題を本年5月末迄に結論を出す、と発言した時に「本当に出来るのか」と疑問に思った。 祖父のDNAを受継ぎクーデンホーフ・…

文芸春秋「茜色の空ー小説大平正芳」辻井喬著(2010・3刊)を読む

大平正芳という政治家に関心を持った時期があった。官僚出身でありながら官僚出身を感じさせず、同じ官僚出身の福田赳夫の才子の風貌に対し,茫洋、鈍重とした雰囲気を持った政治家であったが、自民党の40日抗争その後の総理としての過密な外遊等が重なり選挙…

ちくま新書「コミュニテイを問いなおすーつながり・都市・日本社会の未来」広井良典著・2009・8刊

いい著書と著者に出会う。 毎回のこのブログのテーマは、メルトダウンしつつある日本社会の真の原因は何か、と歴史を振り返りながら自問自答しながら、書いているが、本著には随処にうなずく面が述べられており頭の整理になった。 「無縁社会」という言葉がは…

講談社 小説「排出権商人」黒木 亮著(2009・11刊)を読む

地球温暖化交渉が新聞その他で取り上げられている。 「排出権」のビジネスに少し理解を持とうと、「本書」を読む。 相変らずこの作家の勉強には脱帽させられる。(著者・黒木亮については昨年2009年3・30「冬の喝采」のブログで取り上げた。) あらすじは女性…

角川書店「青山栄次郎伝ーEUの礎を築いた男」林信吾著(2009・12刊)を読む。

本書「青山栄次郎」とは「リヒャルト・ニコラウス・栄次郎・クーデンホーフ・カレルギー」である。(昨年9月27日ブログ。) この本の著者の経歴については欧州にわたり働き・学び・研究した作家・ジャーナリストとしかわからない。がしかし この平成の時代 …

平成21年年末雑感

今年の読書は明治時代の人物の生き方に焦点をあて読み進めたが、秋になり秋山好古、秋山真之、正岡子規を主人公とした司馬遼太郎「坂の上の雲」が3年の長期のテレビドラマ化となった。高度成長時代に好んで読まれた小説である。この時代に生きた男達の生き…

小説 山崎豊子「運命の人」(続)

前回のブログに引き続き「運命の人」を書く。「昭和47年(1972)の沖縄返還に向けた日米政府間交渉で密約がかわされたこと」を当時の毎日新聞記者が外務省公電を入手しスクープしたが、国はこの記者「等」を国家公務員法違反に問う一方、「密約」の存在を否定…

小説 山崎豊子「運命の人 1〜4」(文芸春秋)を読む。

山崎豊子の長編がこの秋 映画 テレビドラマに取り上げられている。 「JAL」の経営構造と労組委員長の人生を取り上げたといわれる小説「沈まぬ太陽」、太平洋戦争時大本営の参謀であった主人公が戦後シベリアに11年抑留され 帰還後嘱託より入社した商社がその…

読書のマイヒストリー:「クーデンホーフ・カレルギー全集(1970−1971)・鹿島出版会」(2009・9・27)

30歳前後に印象に残し長い間忘却の彼方にあった政治家(むしろ思想家)の名前を複雑な心理状態で今思いおこしている。 「リヒャルト・クーデンホーフ・カレルギー」(リヒャルト・ニコラウス・栄次郎・クーデンホーフ・カレルギー=1894〜1972) オーストリ…

雑感(2009・8・31)

昨年8月にはじめたこのブログが一年を経過した。 昨日の総選挙の結果・民主党308議席 対自民党119議席。民主党 圧勝である。前回の総選挙は自民党の圧勝であった。 半藤一利の著書「昭和史」のなかに日本人の特徴として5点挙げ、心すべきこととして次のよう…

角川oneテーマ21「テロリズムの罠」(左巻・右巻)佐藤優著(2009・2・10)を読んで

ほぼ任期満了に近い総選挙が今月30日行われる。 前回総選挙から4年。4年に限らず、10年あまりの間、日本社会は発展どころか、劣化の流れになっていることは疑いない。時折出席する講演会会場においても「劣化」のヤジが飛ぶ。 投票の前に日本の現状・世界の…

暑中お見舞い申し上げます。(遠藤周作文学館にて)(2009・7・30)

暑い夏に入った。九州、山口での豪雨被害が痛ましい。 先に、長崎市にある「遠藤周作文学館」の話題を取り上げた。この「文学館」のある外海地区は平成17年1月の市町村合併で長崎市に合併され長崎市の一番外れにある。角力灘を望み、遠藤周作「沈黙」の舞台…

集英社新書「ブッダはなぜ 子を捨てたか」山折哲雄著(2006・7刊)を読んで。

グローバリゼーション化が進むに従い 宗教をテーマに取り上げた書物を読むようになった。激しい競争社会は一方で宗教に対する心が要求されるのではないか。宗教のない処=絶対ということはなくなる.「あくなき欲望の追求と自由のマヒ」。「アングロサクソン…

草思社「後藤新平・日本の羅針盤となった男」山岡淳一郎著(2007・3・2刊)を読む

高村光太郎が 目標に向かって黙々と努力し粘り強く達する岩手県人の気質について「岩手の人 沈深牛の如し 地を往きて走らず 企てて草卒ならず ついにその成すべきをなす。」と述べている。道州制になると「東北州」等でくくられその土地柄は希薄していくと危…

雑感(2009・4・29)

桜の季節も関東では終わり目下東北八戸周辺とメデイアは報じている。 今月はじめ東北松島まで行き 久々に松島瑞巌寺に行った。「臥龍梅」が満開であった。 来月九州長崎行きを計画 平成12年に開館した西彼杵郡外海町(現在は長崎市東出津町)の「遠藤周作文…

講談社「冬の喝采」黒木亮著(2008.10.20刊)

「黒木亮」という作家に興味を持ったのは「アジアの隼」(祥伝社)という小説が最初であった。あらすじは 新興国市場で世界の注目をあつめはじめたばかりのベトナムの金融市場を舞台にベトナムの発電所建設資金のプロジェクトファイナンスの「マンデート」(主…

光文社 「世界がドルを棄てた日」 田中 宇著(2009.1.30刊) を読む

著者は繊維メーカーに1年勤務の後 共同通信社その後マイクロソフト社を経て個人で国際ニュースの解説記事を配信。その配信者数20万人。夫人との共著「ハーバードで語られる世界戦略」が読書での著者との初めての出会いである。上杉隆と共に関心を持っている…

幻冬舎 「ジャーナリズムの崩壊」 上杉 隆著

血の気の多い多感な若い時 「ジャーナリスト」にあこがれた時代があった。「社会正義を目指し 社会不正義を糾す」。 年末の「派遣切り」. あと何日かで新年 お正月を迎える直前に仕事を 住居を取り上げられた若い世代の人たち、しかもそれを実施したのは経済…

PHP研究所 「九鬼と天心」 北 康利著

著者は銀行・証券の金融出身の作家である。3年前「白洲次郎・占領を背負った男」を書き高い評価を受けた。吉田内閣の時代 憲法制定、講和締結の際にGHQの高官とやりあい、相手から「従順ならざる唯一の日本人」といわれたことや「相手が誰であれ理不尽を許さ…

文春新書「ブログ論壇の誕生」佐々木俊尚著

アナログ世代にとってはデジタル世代といわれる若い世代が パソコンを駆使しインターネットより必要情報を取り仕事を手際よく処理する姿はうらやましくもある。佐々木著はこの春「ネットVSリアルの衝突」(文春新書)以来久しぶりに読むと 気がつかない世界…

みすず書房・「日本の200年・徳川より現代まで」アンドリュー・ゴードン著

100年ぶりの金融恐慌、大恐慌という歴史の中にいる。40年周期の半藤史観をとれば1990年からスタートした衰退の歴史は後20年弱、インターネットでの収縮を考えれば少なくとも後10年の下方波動の中にいるのかと考える。日経ダウも26年ぶりの安値更新した。 歴…

東洋経済新報社「強い円は日本の国益」榊原英資著

このところ榊原英資著書に「はまって」いる。初めて著者の本を読んだのは7年前「インドIT革命の驚異」. 緻密なデータと アジア全体に対する取組に対し 印象強く感じた。近著は2008年6月に出た藤原書店「大転換ーパラダイムシフト」。2005年の「経…

集英社新書「コーカサス・国際関係の十字路」広瀬陽子著

「コーカサス地方」という言葉を少年時代覚えた。この地域の民族の歌とともにのどかな地域と思いきや、その後「ナゴルノカラバフ」「アゼルバイジャン」「チェチェン」「アルメリア」そして北京オリンピック時に問題となった「グルジア」がこの地域である。…

今日から「エルスエーニョブログ」開始

親愛なる皆さんへ皆様 残暑お見舞い申し上げます。今日から「エルスエーニョブログ」開始します。 読書の記録を中心にして 読んで印象・参考になった本の概要を書きます。現役で仕事に忙しい年代ですと 読みたい本も思いっきり読めないと思いますので、何か…