産経新聞出版「歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一」湯浅博著 2011・7刊

2011年3月11日の東日本大震災は間もなく満4年目を迎える。日本の有事であった。救援 復興に10万人規模で人命救助、遺体収容、物資輸送 医療支援の部隊派遣が出来たのは自衛隊を置いてなかった。 震災直後、北上川河口近くの小学校で犠牲になった児童を、一列…

残暑雑感。(2014残暑に)

時代が100年以上前の国境溶解の時代に似ているという。ノートとりながら、20年前のキッシンジャーの著作「外交史・上下」読み始めた。 2008年8月23日にスタートし、3日坊主かと思ったこのブログも足かけ満6年経た。月1回を考えたが不規則になっている。ブロ…

現代書館「小説 外務省・尖閣問題の正体」孫崎 享著2014・4・10刊

本書「小説・外務省」に入る前に、外務省を取り上げた小説に、山崎豊子の「運命の人」がある。このブログ2009・10・31と2009・11・10で取り上げた。「運命の人」は琉球大学の我楽政規教授が米国立公文書館が秘密指定を解除した陸軍省参謀部軍史課による「琉…

藤原書店「小説 横井小楠」小島英記著 2013・3・30刊

明治維新後、戊辰戦争敗者側の少年たちの資質を見抜き人材教育を行った新進官僚の中に、小楠の門下生が何人か歴史上に現れる。後藤新平少年を給仕として雇った安場保和は小楠門下四天王の一人といわれた。山川健次郎とともに会津が生んだ明治人の一人柴五郎…

文芸春秋「孤愁・サウダーデ」新田次郎・藤原正彦著2012・11・30刊

フランスの「シャンソン」、イタリアの「カンツオーネ」、スペインの「フラメンコ」と並んで、聴く人に何とも言えぬ「哀調」の響きを持つ音楽に、ポルトガルの「ファド」がある。 「孤愁」、日本語で書くと、いまいちであるが、ポルトガル語「サウダーデ・sa…

早川書房「ブレイクアウト ネーションズ=大停滞を打ち破る新興諸国」 ルチル・シャルマ著 2013・2刊

このブログ2008年8月にスタートし 足かけ満5年になる。 短期間であったがベトナム・ハノイに行ってきた。高速道路を走る2人乗りの若者のオートバイの数に圧倒され エネルギーを貰って帰ってきた。 数年前ベトナムを次の中国と持ち上げ、ベトナム投資熱があ…

学陽書房「小説上杉鷹山(上・下)」童門冬二著1992・5刊

「なせば成る、為さねばならぬ何事も、為さぬはひとのなさぬなりけり」という上杉鷹山で有名な「米沢」という会津に近い風土を思い出し、早速かねて読んだ上記歴史小説、と同じ「鷹山」を取り上げた「漆の実のみのる国(上・下)(藤沢周平著)を、さらに2代…

岩波書店「最後の日本人―朝河貫一の生涯」阿部善雄著1983.9刊

前回会津を取り上げた。今回も取り上げる。厳密には二本松である。表題の本は隋分古い本である。30年前の本である。最近の本に『朝河貫一とその時代・矢吹晋著・花伝社・2007・12刊』がある。 ところで会津藩祖保科正之は 徳川3代将軍家光の弟であるが庶子ゆ…

講談社「めぐり逢いー新島八重回想記」鳥越碧著2012・11刊

「日本人の精神力」が一番強く、逆境にありながらも 向かい風にもめげず粘り強く戦う力を持ち合わせた風土があるとしたら、どこだろうと考えたとき、それは「会津周辺・はからずも戊辰戦争で敗戦に追いやられた地方」ではなかろうかと、少々一方的だが考えて…

ハースト婦人画報社「依田勉三の生涯」 松山善三著・2012・5刊

『指一本動く限りは十勝野の土を握りて放さぬ。何故か この豊饒の沃野を不毛に終わらせるのは子々孫々への恥と思うからだ。』 『十勝野には無限の富がかくれている。それを摑むのは、君たちの手だ、汗だ、血だ。』 数年前、ある郷土史家の文章で「依田勉三」…

2012年末に。草思社「親日派のための弁明」金完ソプ著2002・7刊

3年余りの民主党政治から自民党政治に戻る。3代続いた。大体3代で終わるとよく言う。民主党もそうなった。期待が大きかっただけに期待が外れると、腹が立つ。それでも目線を低くした政治もあり、少しは評価してもよい部分もある。 「高校授業料無償化」。こ…

集英社新書「TPP亡国論」中野剛士著2011・12刊。

衆議院が解散されて2週間目。 第3極といわれる政党の収斂が進んでいる。昨年東日本大震災による原子力発電事故という大災害を受けながら この問題を前面に出し最大の「公約」に取り上げるべき政党が出現し、原発政策を議論してほしいと考えていたが、ようや…

徳間書店「グローバル経済に殺される韓国、打ち勝つ日本」三橋貴明著2012・6刊

意外な著書であった。むしろウオンの通貨安戦略で日本よりグローバル経済で一歩先を歩いていると考えていた韓国経済が実はそうではない。格差も進み、失業率も実際は20%近いという。 一度はIMFより支援を受けた韓国大企業の株主比率は50%以上が外国資本…

中公新書「韓国とキリスト教」浅見雅一・安廷苑著・2012・7月刊

隣国、韓国について「古代朝鮮」「高麗」「朝鮮王朝」とあまりこれまで読んでこなかった「隣国の歴史」を勉強している。特に客観的記述に注意し冷静に読んでいるが、三省堂で朝鮮史研究会より1995年から10刷以上出版されている「朝鮮の歴史・新版」が整理さ…

平成24年8月残暑雑感。

今年 都内の百貨店で開催されていた「五浦(いずら)と岡倉天心の遺産展」を観賞する機会があった。東日本大震災で流失した五浦六角堂が茨城大学などの努力で今年4月再建された記念の絵画展であった。 横山大観、下村観山、菱田春草、など日本近代絵画史上…

ミネルヴァ書房「何処へ行くのか、この国は」村田良平著・2010・4刊

梅雨の終盤となると、記録的大雨がここ何年か続いている。今年は北部九州、熊本、佐賀、大分、福岡が大被害を受けた。関東は先週梅雨明けとなった。 暑い夏に入る。7月末から8月の終戦記念日にかけ新聞は太平洋戦争、歴史の反省の論調に紙面を割く。しかし今…

光文社新書「『当事者』の時代」 佐々木俊尚著・2012・3刊

面白い本に出会った。 1970年代に仕事と勉強と遊びに青春時代を過ごした筆者が、自らのこれまでを「自省」させ考えさせてくれた好著書であった。著者、佐々木俊尚氏。 1961年生 年齢50代初め。早稲田に6年在籍しバブルはじける兆しの出はじめた1988年毎日新…

朝日新書「福島原発メルトダウン」広瀬隆著・2011・5刊

現役時代の金融界よりコンサルタントという自由業に転進し いつの間にか今月末で丁度10年になる。 先月5月コンサルとして関わった放射線機器関連会社の業務で福島に行って来た。 東日本大震災より1年余り。復興は順調でない。津波被災された地域は、コンクリ…

論創社「よみがえるカリスマ平田篤胤」荒俣宏・米田勝安著2000・12刊

1年前、「タイガーマスク現象」が社会をにぎわした。その際バングラデッシュの「BOPビジネス」・グラミンフォン創業者、イクバル・カデイーアを取上げた。世界の経済は更に下降線のようだ。3月には「東日本大震災」が発生した。『タイガーマスク現象』は数年…

2011年末に。経済界刊「時務を識る」北尾吉孝著2011・12刊

関東以西で想定されていた「大地震」の到来と、逆に原発安全神話として信じられ、想定されていなかった「原発・放射能汚染事故」の1年であった。目の前に自然に育まれ、生まれ育った故郷がありながら戻れない事実ほど悲惨なことはない。取り返すことの出来な…

講談社現代文庫「韓国は1個の哲学である」小倉紀蔵著・2011・5刊

世界はまさに不安定の様相である。資本主義の行き過ぎた「格差社会」に反対するアメリカ若者のウオール街でのデモ、同じくロンドンでの若者のデモ、欧州財政危機、中東オレンジ革命による民主化運動、カダフィのリビア独裁もついに倒れた。アメリカ$の暴落…

平成23年8月・残暑お見舞い

既に8月末。昨年の猛暑に比較しやや涼しい。蝉も『この夏最後だ』と言わんばかりに鳴いている。 2年前の夏に政権交代した民主党が3度目の代表選を昨日実施した。内部の権力闘争。テレビを見ていて、当選発表をする瞬間、当選した候補者の1人隣の席に座って…

PHP「なぜ日本は『大東亜戦争』を戦ったのか―アジア主義者の夢と挫折」田原総一朗著2011・4月刊 

今日の日本の30代 40代の生き方に感心させられることが多くなっている。国立大医学部卒業後外務省へ医務官として入省、その後退職し アフリカ・スーダン共和国で医療関係のNPO法人「ロシナンテス」を立ち上げ医療活動に取り組み、現地の人々から尊敬されてい…

「日本汽水紀行ー森は海の恋人の世界をたずねて」畠山 重篤著・文芸春秋・2007・6刊

今日は震災後丁度3ケ月目。4月初め、被災地を訪れ、「言葉」がなかった。 ブッダの「掌」のなかで「生かされている」と実感した。生死は紙一重。生死は田んぼの細いあぜ道一本の差と実感した。2ケ月ブログ休んだ。頭の整理を行った。前回3月末のブログでは、…

平成23年3月・2つの現実・アンコールの如く忘れ去られないように。

このブログで何度かインド、バングラデッシュ等途上国、途上地域のテーマを取上げた。グローバル化で成長するインド、精神の輸出国の磁場と言われる多宗教国家インド。グローバル化でどう変貌していくか、筆者には関心の大きいテーマである。 今月はじめ韓国…

英治出版「グラミンフォンという奇跡」ニコラス・p・サリバン著 東方雅美・渡部典子訳(2007・7・20刊)

おめでとうございます。 新年なのでいい話題を取上げたい。 「タイガーマスク現象」が全国で生じている。小学校に入学する児童に匿名で「ランドセル」を贈るというこの「善意」を否定する人はいない。なかには 社会を斜めから見て「偽善」と言い 批判する「…

集英社新書「必生 闘う仏教」佐々井秀嶺著(2010・10刊)を読む。

約5年前の日経新聞夕刊(2006・1・26) ヒンドー教のインドで、バンテージー(上人)ササイと呼ばれ、カースト最下層の人々の先頭に立って仏教の布教活動をしているという日本人の紹介記事が出た。どのような生き方をしているのだろうと興味を持っていたが、…

筑摩書房「検察の正義」郷原信郎著(2009・9刊)を読む。

今日の日本の抱える問題は「国家財政の破綻危惧」「雇用、格差問題」「少子高齢社会に向かう安心した社会保障のあり方」「教育のあり方」」「公務員制度並びに地方自治改革」などここ数年来懸念されてきた問題が一気に吹き出た感じだ。これらの重大問題に加…

日経BP社「インド厄介な経済大国」エドワード・ルース著・田口未和訳(2008・8刊)

1960年代に在インド米国大使だったJ・Kガルブレイスがインドのことを「機能的・無政府状態」と表現した。それから50年経ているから少なくとも「無政府状態」からは進展しているのではと考えられるが4000万人もの未就学児童の存在、コングレス党(国民会議…

平成22年盛夏に思う。「資本主義・2.0」水野和夫・島田裕巳著(2008・5)講談社

平成22年の夏は猛暑の連続だ。北海道が35度以上になるのははじめてである。東京より暑い日が何日もあった。 このブログ開始して満2年。2年前の8月にスタートし、月1回を「読書」中心に筆者の考え、と若干の本の紹介をと思い書き始めた。3カ月坊主かと思…