暑中お見舞い申し上げます。(遠藤周作文学館にて)(2009・7・30)

暑い夏に入った。九州、山口での豪雨被害が痛ましい。
 先に、長崎市にある「遠藤周作文学館」の話題を取り上げた。この「文学館」のある外海地区は平成17年1月の市町村合併長崎市に合併され長崎市の一番外れにある。角力灘を望み、遠藤周作「沈黙」の舞台となった処である。隣は「西海市」。海に面した心を洗う処である。黒崎川,出津川,神浦川と3つの清流に沿って発達した処で 現在まとまってその地域は 旅行者の一日探訪コースに組み込まれている。

 黒崎教会、外海歴史民俗資料館、出津文化村、出津教会、ドロ神父記念館、などのキリシタン弾圧時代のキリシタン史跡が残る。長崎空港よりフェリー乗継で約1時間、長崎駅よりバス乗継で約1時間程度で行ける。夏の訪問にはふさわしい土地だ。特に文学館からガラス越しに角力灘の大海原を見る風景は何ともいえない。館内には先生の足跡の説明があり、昭和32年に書いた「海と毒薬」で書けなかったものを昭和52年「悲しみの歌」で書き、「悲しみの歌」で書けなかったものを更に20年後の平成5年「深い河」で書いたと説明されてあった。一作品に20年の醸成を掛けた作品。

 「深い河で書こうとしたもの」
30代の新進学者「ヒンドウー・ナショナリズム」や「中村屋のブース」を書いた「中島岳志」は日経講座「21世紀と文明」で主人公「大津」をして最終的に「多神教」と「一神教」を区分しない「何か包み込むもの」をインドのガンジス河の畔にある聖地ヴァラナシに求めたと語っている。2度読んだ「深い河」なにやらもう1度読みたい気分になった。
暑い夏 時間ある人にはこの外海地区 西海市の旅はお薦めしたい。